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2010年6月 6日 (日)

ルーシー・リー(Lucie Rie)展

とても行きたいなと思っていた国立新美術館で開催中のルーシー・リー展に行ってきました。
これがとても良かった。素晴らしい作品は泣けてきます。

ルーシー・リー展ルーシー・リー展

まず簡単に紹介しますと。
ルーシー・リー(Lucie Rie:1902-95)は20世紀のイギリスを代表する陶芸家です。
オーストリアの裕福なユダヤ人の家庭に、ウィーン工業美術学校で陶芸を学びました。その後建築家ヨーゼフ・ホフマンらも所属していたウィーン工房で働きます。時は世紀末、彼女もウィーン・セセッションの影響をを受けた作品を残しています。本展でもウィーン時代の作品が展示されていますが、華やかな色彩の作品は、クリムトのをはじめとする世紀末芸術に漂うどこか寂しげな印象がありました。

その後、ナチスの迫害を逃れる為にイギリスへ亡命します。ロンドンの小さな家に工房を設け、創作を続けました。ですが戦争が激しくなるとそれも困難となり、工場で働かねばならいこともありましたが、陶製のボタンの製作して家計をつなぎました。イギリスでは陶芸界を引っ張っていたバーナード・リーチとの親交が生まれます。英国陶芸界におけるリーチの影響はかなりのものだったそうで彼の批評で作品の売れる売れないが決まってしまうほどでした。彼女は当初リーチのアドバイスを受け入れながら創作を続けます。リーチはロンドンで高村光太郎と出会い、日本に興味を持ち何度も来日しています。民藝活動の柳宗悦との親交もあったため、彼の作風は日本の要素を含んでいました。ですがルーシ・リーはリードの作風を好まず、独自の道を歩み始めます。その歩みが本展の見所な分けです。

彼女の造形はシンプルで誰もが受け入れやすいものではないかと思います。バウハウスの影響もみられるように、とてもモダンでどんな部屋に置いても映えます。自己満足の作品というより一人でも多くの人に美しく映るものを作りたい、そんな作品は凛としたものがあります。

彼女が自然の力と共に生み出す色と質感…時に繊細で、時に荒々しい。陶芸は芸術であるけれど、建築のように創作の為に科学的な知識が要求されます。釉薬の調合や釜の温度設定はデータを蓄積することと経験が不可欠で、彼女の生み出す色と質感が地道に努力した賜物であることは彼女の膨大な釉薬ノートが物語っていました。それでも、釜へ入れて思い通りになることは半分程度、でも逆に奇跡が起きることもあるわけです。

ルーシーばあさんの仕草はなんとも愛嬌がありました。轆轤(ろくろ)を回すときはその回転運動に同調するように頭と首が微妙に揺れ、回転運動が終わると頭の揺れも止まり、鋭い眼光で作品のバランスを見る。そして修正の為に轆轤を再びまわせばまた頭が揺れ始める。もう一つ、作品を釜から取り出す様子。工房では天部の開く釜を使っていて、釜の底から作品を取り出すときは落ちてしまいそうなほど身体を乗り出したりと。

激しい時代を生き抜きながら、ただただひた向きに作品を作り続けた素敵な女性。理論云々でなく、ただただ美しさを追求し続ける芸術家。
陶芸が好きな人はもちろん、芸術が好きな人、デザインやインテリアが好きな人、ものづくりをしている人、料理が好きな人、美しいものが好きな人、

きっと気付かされるはずです。やらなければならないと思っている何かを。

国立新美術館で6月21日までやっています。ぜひ。

追伸

音声ガイダンスをレンタルすることをおススメします。各セグメントごとに文章の案内がありますが、ナレーション(樋口可南子さん)を聞きながらの方が素晴らしい作品に集中できると思います。

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コメント

はじめまして。
e-machiで頂いた足あとから来ました、tjnkです。

e-machiでプロフィール拝見し、村野藤吾氏の名前が挙がってたのにちょっと驚き&嬉しかったです。建築の分野ではもちろん大巨匠ですが、案外名前を挙げる方少ない気がして。
私はいくつかプリンスホテルを訪ねました。手作りのぬくもりを感じるプロダクト、空間がとても好きです。

ルーシー・リー展、行こかどしよか迷ってるんですが。。。観たくなりました。が、間に合うかなぁ。。。

またおじゃましますね。
では。

投稿: tjnk | 2010年6月12日 (土) 11時24分

ルーシー・リー!
以前、たくさんのボタンの展示をどこかで見て以来、気になってました。

ようやく時間が取れそうなので来週行ってきます。
樋口加南子さんのナレーションも聞いてきますね。
楽しみです。
情報ありがとうございました。

投稿: green | 2010年6月19日 (土) 01時21分

greenさん、いつもコメントありがとうございます。

ぜひぜひ!
僕は陶芸でこんなに感動するものがあるとは思っていませんでした。

インタビューのビデオを流しているのでぜひ見てきてください。スプーンおばさんが陶芸している…そんな感じで、すごくかわいらしい。

存分満喫してきてくださいね☆

投稿: martin | 2010年6月19日 (土) 06時20分

最終日、混んでました!
繊細なのに力強く、ゆらぎながらパーフェクト。

私も職人のはしくれです。
完璧を目指すと柔らかさが足りない上、誰かの真似みたい。
自由に作るとなんだか締まらない…。
毎日試行錯誤しています。

良い充電ができました。ありがとう。


あ、スプーンおばさん…ホントに!

投稿: green | 2010年6月21日 (月) 18時16分

greenさんどうもです。

ルーシーリー展行けたんですね。
良い時間を過ごせたみたいで良かったです。

greenさんもものづくりされているんですね。
どんなもの作っているのかな?

僕ももっと試行錯誤しなきゃなと思います。
ルーシーリーはすご過ぎますけど
少しづつgreenらしさ、
martinらしさがでるよう
お互い頑張りましょう。

次は、サントリー美術館の能と狂言の展示はどうかなぁって思ってます。
全くわからないけど、音声ガイドを聞きながらなら…多少は。。。と

投稿: martin | 2010年6月22日 (火) 07時02分

お返事ありがとうございます。
私は、国立近代美術館の上村松園展、楽しみです。

またのぞきに来ますので、お能の感想もお願いしますね!
では…

投稿: green | 2010年6月22日 (火) 09時13分

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