« 「REALITY LAB ― 再生・再創造」展 | トップページ | よい一年でした。どうもありがとうございます。 »

2010年12月30日 (木)

【book martin 41928】 005-01 小室直樹『日本人のための宗教原論』『日本人のための憲法原論』

Photo_4

次に紹介したい本というか人物がいるのですが、その前に簡単な前振りとなるもの書きたいなと思って書いてみます。年末年始に時間のある方は、この2冊を読むと日本のこと、世界のことについてすごく根本的なものをつかめると思います。会話調の文体もとっつきやすいし、こんなに分かりやすく世界の根本を知ることができる本はなかなかありません。でも皆様ご予定で忙しいと思いますのでダイジェストしようと思います。ニュースや文化、芸術を理解するときにも役に立つと思います。

よく勘違いをされるけど、民主主義の基本は間違っても多数決などではないんです。民主主義の基本は平等であることであって、多勢に無勢なんて言語道断、小さな意見でも汲み取る機会を与える事が民主主義なのです。多数決というのは、民主主義と全く関係なく、議会を円滑に、速やかに決断するために行われるようになったものでしかありません。ではこの民主主義なぜできたのかといえば、それは平等の精神です。といっても平等というのは、言うが易しでなんとも厄介な言葉です。なのでここでは、他人の自由を侵さない程度で考えてみてください。
日本では民主主義が一番だという話ばかりがまかり通っています。でも、民主主義というものがあまりにも曖昧なまま、なんとなく国民の意向が一番反映されやすいものと思われている。僕自身もそう思って、それ以上をきちんと知ろうとしてきませんでした。
今の国会を見ていると、きちんと議論するというより、利害の一致する人とつるんで賛成多数に持っていくというような、民主主義の根本である平等の精神なんて微塵もないように感じる人も多いのではないでしょうか。でも、それもそのはずなのです。そもそも民主主義の根底にはとても大きなものがあるからなのです。
それは何かといいますと先に述べた平等なんです。何を基準に平等かといいますと、神の下に平等なのです。絶対の神の下では、社会的な地位や貧富の差は関係ない。神のもとに、国王から庶民までみな平等ということです。ですから、日本人にはそういう一致はないのですから、少数政党の意見に耳を傾けようなどということにはなりにくいのです。空気が支配したりします。

この神はもちろんキリスト教に由来するものなので、民主主義そしてその双子である資本主義を理解するには、キリスト教がもたらすエートスというものを知らなければなりません。
エートスというのは、習慣というか行動の原理のことです。こういったら分かりやすいでしょうか、一日は24時間ありますが、多くの人にとって基本的には日の出日の入りを基準にして生活のパターンがある。大方の人は昼間を基準に仕事をしているというのはひとつのエートスと言えると思います。ですからキリスト教のエートスといえば、キリスト教の信者あるいはキリスト教圏で生きる人の生活パターンの大前提となっているようなことを言います。

ではそのキリスト教のエートスを理解するために何を知らなければならないのでしょうか。それは「予定説」と「契約」です。これを理解していないと、何もわかりません。
まず予定説についてです。キリスト教では神は絶対で完全で、すべてを知る存在です。人の人生の過去から未来まですべて神の意志によってつくられると考えられています。人間は将来を不安に思いながら生きていきますが、神は未来もご存知でということになる。さらに一歩進むとこうなる、すべての運命を司る神は勿論救う人も決まっている。簡単にいうとそれが予定説なのです。だから何と思われるかもしれないのですが、これがすごいのです。
受験のように点数という形で努力が反映されるものであれば、人は頑張ります。仕事の場合はもう少し成果というものの評価が複雑にはなってきますが、ある程度のこうであるべきというものがわかりやすいし、努力のしがいもある。では、神に救われたいという場合は、神の意向に沿ったこと誠実にこなしていけばいいじゃないか、と普通に考えたら思うでしょ。でもそこがミソで、ある意味すごいし、恐ろしさえ思える部分なのです。実は、キリスト教にはこうすべきということはないのです。
どういうことっていまいち思われるかもしれません。自分の実生活や仕事に重ねて想像してみてください。もし新入社員だったら右も左もわからず、その会社のルールを理解するまで、先輩方を伺いながら行動すると思います。救済されなければどんなに恐ろしいことが待っているかもしれない。そんな中で、もし正しいとされることがわからない、けれど神の意向に沿って正しいことをしている人は救済されるとしたらどうしますか。兎にも角にも正しいと思えることをしようとするでしょう。もし隣で自分より正しそうに思えることをしていれば、少なくともその人くらいのことをしなければ、となっていきます。決まっているなら頑張らなくてもいいやとなるかといえば、人は自分こそが救われる人であると信じたい。するとむしろこのような逆のことが起きてしまうのです。

(つづく)

 

|

« 「REALITY LAB ― 再生・再創造」展 | トップページ | よい一年でした。どうもありがとうございます。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1345309/38269427

この記事へのトラックバック一覧です: 【book martin 41928】 005-01 小室直樹『日本人のための宗教原論』『日本人のための憲法原論』:

« 「REALITY LAB ― 再生・再創造」展 | トップページ | よい一年でした。どうもありがとうございます。 »