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2011年2月21日 (月)

靴づくりはどこへゆくのでしょうね

買い物をするときに「安くて、よりよい物」ということを意識すると思います。人によって、「安くて、よい物」への本気度は様々だと思いますし、すごく好きなものや趣味のものを買うとき、それほど気にしないものを買うときなどによっても様々だと思います。

ただメーカーに勤めていますと「安くて、よいものです。が、・・・」というのが実態だと思います。安さには何かしらの理由がないはずがない。そのぶん儲けているのかといえば、そんなことはありませんよ。ギリギリです。生産量も徐々にヘリ、少量で多デザインが進む傾向です。大量生産を前提とした靴メーカにとっては効率の良くない方向へと進んでいます。

靴の材料、わかりやすいところで革を例に出すとこんなことがあります。
靴全般の話をしますと、基本的には鞄や衣類に使われる革より良いものが使われます。高級なものや庶民的なものという点をカッコにいれて考えた場合、沢山の面積を必要とするものの方が質の低い革を使います。
一流の高級靴は、革自体がよいのはもちろんのこと、裁断の時は伸びる方向も考えて肌目のきれいなところだけを取ります。だから当然歩留まりは悪い(捨てるところが多い)。
では、庶民的な靴の場合はどうなるのか、いくつかの方法を列挙します。実際は、これらを複合的に用いて、価格に折り合いをつけています。
革の質を下げる。革の値段はいろいろですが、安い革にするというのもあります。また、見た目だけにこだわる場合、後述しますが誤魔化し方は色々とあり、合皮という手もあります。最近は合皮のレベルも上がってきました。
良くないところを使う割合を増やす。甲革(靴の表面の革)なら目立ちにくい内側、つまりは土踏まず側などを中心に革の良くない部分を使うというのもよくある手段です。

牛や動物の革は、若いものの方が柔らかい。肉と同じですね、高級料理で仔牛の何チャラってよくありますよね。ただし仔牛なので一枚の革の面積は小さくなる。とすればそもそも仔牛の革など高いのにさらに歩留まりも悪い。
そうするともう少し加齢した牛の革の方が大判で歩留まりも良い。ただし、柔らかさなんかはあまりないわけです。硬いということは、適度に伸びないので足に馴染まない、故に歩きにくいということにつながります。
人間と同じで歳をとれば、シワやシミ、さらにはキズも多くなったりする。そんな中でも酷いものは、エナメル用や塗料が厚く塗られたものにされる。他にも銀面(革の表面)を研磨してから塗装する、などなどいろいろと誤魔化すわけです。

革の他にも、特に見えない部分を中心にコストダウンは進んでいます。
ただ最後に、材料を絞って原価を落としたところで、作る手間はそれほど変わらなかったりするのです。むしろ質の悪い材料のために、作業しづらいことさえあります。
そうなってくると最後は人件費、もうこれしかないわけです。

そして海外への移行が始まると、国内への回帰はなかなか難しい。
靴のみならず、日本の産業はどうなっていくことやら。。。

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